初恋

A 君、今度高校1年。

進学校、でも、エスカレーター式に小学校から上がってきた。

高校になると、外部から入って来る子も、1クラス数人はいる。

毎日毎日勉強!

A 君得意学科は、英語、社会、国語、歴史(完全文系)

新学年のちょっとした楽しみは、新しいクラス編成。

どんなクラスに割り当てられるだろうか?......

...この年、A君ラッキーなことに....女子のいるクラスに!

(女子が半分いるクラスは、5クラスのうち2クラスだけ、残り3クラスは男子ばかり)

その上もうひとつラッキーなことが.....

それは中学の時から気になっていたB子が同じクラスに。 

 B子は中学生の時から、美少女で有名だった。

しかもB子の座席は、A君の後ろ。

(何故かこの高校では、(今のようにコロナもなかったし)席を男女ジグザグにしていた)

進学校でw、生徒はかなり真面目な子ばかりで、へんな事件も全くなかった。なにしろ生徒も先生もマジメ、というか、ほとんど超-真面目。

担任は社会科の年配の教師で、怒ったり、小言を言うタイプでもなく、ラクだった。

3日経った日の最初の授業の時

消しゴムをA君は忘れていたことに気付き、それを口に出した。回りに聞こえたとは思わなかったが.....

後ろのB 子が、使って3分の1くらいになった消しゴムを差し出した。(あげる、という感じで)

B子の筆箱を見ると、B 子はもうひとつ新しい消しゴムを

持っていた。(そういうことか)

ーありがとー

それがB 子と交わした最初の言葉だった。

翌日昼食時....

昼食は全員自分の机でたべることになっっている。

A 君が食べ始めたとき..

B子より後ろから肩を軽く叩かれた。

ーA君、これあげるー

というB 子の方を見ると、B 子が箸で指しているのは、オカズの卵焼きだった。

ーえっ!ー

ーだって私、卵焼き好きじゃないもんー

と言われたので、A君は卵焼きだけとった。

ーA君、よく食べるんだね!ー

まあ、太ってないわりには食べる方かも。

B子はあまり食べる方ではなかった。

体も細め。

身長158cm、体重43kgとかいってた。

A君は170の61kg。

その日家に帰って、食事になった時、昼食時のB 子のことを思い出した。

...なんかあっけかランというか、天真爛漫というか...

...僕に興味あるのかな??...

...だったらいいんだけど...

...あんな可愛い子、そういない...

それから、教室でも結構ふたりでお喋り。

男友達といる時、よくからかわれるようになった。

ーお前いいなあ、B 子と仲よくできてー

ーB 子とつき合っているのか?ー

友達のやっかみのような言葉に、仕方なくいつも曖昧な返事を返していた。

夜家でも、時々B 子のことを考える。

...顔細くて、目鼻立ちがハッキリしている....

...今、何してるんだろう....

...今度日曜に、映画にでも誘ってみようか?....

 

しかし、新学年が始まり2ヵ月が経った頃

(学校は結構JR 駅近にあって校門を出ると、駅のホームが見えるくらいだった。)

帰りに駅方向を見ると、B 子がホームに立っていた。

A君はB 子の姿を注視した。

そこに長身の男の子が現れ、2人は親しげに話し、一緒に電車に乗った。


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....それがA君の淡い恋の終わりだった。

B 子には、2学年上の他校のボーイフレンドがいた。

そんなこと、B子と話したことはなかった。

B 子は別にクラスメイトに話すことではないと思っていたのだろう。

...あの甘い卵焼きは、何だったんだろう....