美人のために刑務所に入った弁護士(1)

ちょっと哀しい、というか、いい加減というか、やってはいけない物語。

美人に恋したばかりに、美人のためにやったことで、刑務所に入った弁護士。

 

弁護士がこの美人と知り合ったのは、弁護士37才、美人25才。

場所は弁護士がたまに行ってた渋谷の高級レストラン。

そこにバイトに来ていたのが、この美人女性。

弁護士は一目見て、その柔和な雰囲気とスタイルの良さ、真面目な態度にメロメロ。

 

しかし弁護士には同年代の奧さんがいた。

この頃弁護士はそこそこ稼いでいて、田園調布にローンで家も買っていた。田園調布にある他のばかでかい家とは比べられない普通の家だったが、平成10年頃で、まだ田園調布のネームバリューは落ちていなかった。

そこで奧さん、息子と3入暮らし。

 

弁護士、腹の出てきた奧さんには、そういう気にならなくなって、たまにこっそり摘まみ食いの浮気はしていたが、この美人には、浮気どころではない本気も本気。

何度も通って、とうとうこの美人と外で会う約束が出来た。

生まれてこの方、こんな美人と二人だけで会うなんてことは、全く無かった。

 

外で会って、この美人に聞いてびっくり!  この美人は独身で、今彼氏もいなかった。

弁護士は(法律家のくせに)私も独身です、と嘘をついた。

とにかく何としても、この女性を口説きたかった。

自分の人生で、こんな女性には2度と会えない、と思った。

4度目のデイトで、やっとそういう場所にいくことに同意。関係を持った。

 

美人は三軒茶屋の家賃6万円のワンルームマンションに住んでいた。

弁護士は以前彼女に、

ーどんな所に住んでるんですか?ー

と聞かれ、超焦った。

で口から出任せに、

ー目黒の普通のマンションー

と言ってしまっていた。

 

目黒でマンションをさがさなくては!

弁護士は仕事の合間をみて、目黒の不動産屋に通った。

いつ彼女がーお家見せてくださいーと言うか分からない...

マンションが見つかっても、そこそこ家具も揃えておかなくてはならない。

 

ほとんど毎日、針の筵にいるような気分。

今までも、けっこう時間にルーズに生活しているので、奧さんにバレル心配はなかったが、彼女にバレル方が怖かった。

バレたら、彼女は去って行くだろう。それだけはないようにしたい。

(弁護士というより、やってることは普通のわるい男以下。)

 

目黒のマンションは何とか見つかった。家賃13万円の1LDK 。そこにパソコン、デスク、テレビや冷蔵庫、寝具、ロッカーを慌てて買い込んだ。

スーツや靴、法律書などは、自宅や事務所からこっそり持ち込んだ。

1週間で何とか格好はついた。

 

しかしここでもうひとつの大きな問題が出現した。

(続く)