自殺者を救うために

日本の自殺者は、凡そ年間3万人と言われる。これはコロナ死者の20倍、30倍という数字だ。(正確数不明)

中学生や、時には小学生が自殺したなどというニュースを見ると、胸が痛む。

(今後コロナ不況で自殺者は増加すると思われる。)

 

私が聞いた話。

超真面目な兄、イケイケの弟。

実は2人は、地方の中堅都市(人口約90万人)で、親の後を継いでビジネスホテル経営をしていた。

 

店舗数は6件、1件が部屋数60から100のビジネスホテルで、ビジネスホテルとしては、そこそこ大きい。

元々親は堅実な人で、経営はうまくいっており、会社としてのキャッシュフローも充分あった。

市の中心部に、小さな自社ビルも持っており、本社にホテルを管理する従業員が数人いた。

 

このホテルを最初に継いだのはドイツ車販売の会社にいた弟。

親は、一流大学を出て、一流会社のサラリーマンをしている真面目な兄の方も引き込んで、経営体制を固め、自分は年を考えて、数年で引退するつもりだった。

性格が全く違うのに、兄弟仲は良く、2人でやらせても心配ないと思っていた。

 

兄の方はなかなかウンと言わず、しかし最終的にOK し、会社勤務をやめて入社したのは2年前。

 

弟は営業的な仕事、兄は元々総務系の仕事だったので、人事管理と金融機関との折衝などを担当。

実は6店目の店舗は兄弟で作った最初の店舗で、他の5店舗程度にはうまくいっていた。

 

ある日弟が

ーお兄ちゃん、もう1店出したい。ごっつい良い場所が見つかった!!ー

と言ってきた。

 

現地を見てみると、駅から徒歩3,4分、メインストリート沿いの良い場所だった。

兄も気に入ったが、弟の構想の、ここだけはちょっと高級にして、観光ホテル風にしたい!という要望を聞くと、合計30億円の資金は必要だ。

 

兄はその夜ほとんど寝ないで考えた。

事業計画書を何種類も作ってみた。黒字の計画書、赤字の計画書、中間の計画書....

いくらやっても答は出なかった。

今まではビジネスホテル系統。今度は観光ホテル系。だから想像を働かせるのは難しい。

 

翌日、兄は観光ホテル系の似たような場所の収益を調べたが、ホテルによって異なり、判断がつかない。

 

銀行に行ってみた。銀行は、(親の信用があるので)ホテル建設の全額融資OK 。しかし、この場所での経営に関するアドバイスまでは貰えなかった。

 

弟に、100%の自信はないから、やめたい!と言っても、弟はやりたいの一点張り。親も、銀行融資が出るなら、やったら、と言う。

 

超真面目な兄は、毎日考え、憔悴していた。

今、会社の定期預金は5億円、普通預金は2億円ある。しかし、このホテルをやって失敗すれば、そんな預金は、1年で吹っ飛ぶ。そのうち自社ビルも、我々の家も全部取られる....

..................................................

 

数日後、兄は会社に来なかった。

そして、兄嫁から会社に慌てた電話!!

ー○○さんが死んでるー

 

兄は自殺したのだ。

弟と親はびっくり!

悲しみのドン底に落とされた。

 

しかし、弟は解からなかった。どうして自殺したのか。親も充分判からなかった。

ー僕がどうしても観光ホテルをやりたいと言ったのが原因だと思う。ー

ーいや、お前の責任ではない。ー

と親は庇ってくれた。

ー兄貴は考え過ぎたんだ。私ももっと○○(兄)の性格を分かって、会社に引き込まなければよかった。ー

 

この会社はその後、観光ホテルをその場所で始めて、ホテルは大成功している。(弟は、兄の事もあるので、一時やめようと思ったが、銀行の好意で始めた。)

 

今、コロナ禍で、どのような状態かは分からないが。

 

 

自殺者には特徴がある。

*あることを考え出したら、その事しか頭にないこと。

*不安、失敗、失職、失恋などを大きく考え過ぎること。だから、ほかの人たちより、はるかに大きなダメージになっている。

 

しかし、小さな子供がいじめを受けて自殺するというのは、親にも、学校にも責任がある。周囲がその兆候に気付き、早急に対処すれば、救えたかもしれない命。

 

真面目過ぎる子を追い詰めてはいけない。しかし、真面目な子に強くなる方法や、自分の命は自分の責任ということも、教えなければならない。

 

ある有名ゴルフアーは、勉強が嫌なとき、いじめられた時は、保健室にいたと言う。今はメンタルも強いプレーヤーになっている。

(私の下の子も、よく保健室に行って寝る子だった。)

(悪さをする子以外は)どんな子にも、居場所のある、好き勝手が出来る、そういう余裕が学校には必要だ。