女に1回で2億円払った人

私のように数多くの仕事を同時にやっていると、毎日色んな情報がはいってくる。

もちろんたまにガセネタもあるが、あまり変な人、おかしな人とは付き合わないようにしているので、ほとんどはマトモな情報。

これは情報というより、スキャンダルである。

実は現在私がやっている仕事の当事者のひとりの話...なんで、これを読んだ私と同じ仕事に関わっている人たち(10人くらいいる)は、個人情報を出さないようにするが、分かると思う。

女好きの高齢の大型総合病院の院長。

ある銀座のクラブに入って、気前よく飲んでいたら、若くて可愛い、まだ20代の子が隣席についた。

そこで早速ビョーキが出始めたジイサン院長は、色々言って口説き始める。

まるで孫娘くらいの子だが、今まで何度かこの年の子も口説いたことがあるから、なんて経験値から。

まあ、高齢だけど、お金もそこそこ持っている院長だからと思って口説かれた女。

そしてその夜は、高級ホテルにお泊まり。ホテルでは、私はこんな大きな病院の経営者なんだと、ついホントのことを言ってしまった。

女好きであっても、年は80代。

頑張ってみたけど、あまり上手くいかない。そのうち眠ってしまった。

翌朝...

7時に目覚めると、女はすっかり化粧をし、帰り支度を終えていた。

早く帰りたいのかな、と思ったジイサン院長。

また会おうね、と言って10万円を渡した。

女はそれを受けとると、あっという間に消えた。

4,5日後、女の携帯にかけたが、女は出なかった。

その3日後、見知らぬ中年男から、何と病院の代表電話に電話がかかってきた。

内容は...

あの子は私の娘で、一流商社マンともうすぐ結婚予定だった。

ところがあなたとのことがバレて、婚約破棄になった。ついては、あなたも大病院の院長だから1億円は払って欲しい!

病院にはご家族も働いているようだから。

ということだった。

つまり病院で身内が働いていることも、この男は調べていた。

1億円は無理だ。1000万円で何とか許してくれ!

と交渉してみたが、男は1億円からガンとして引かなかった。

女の子が携帯に出ないので、ジイサン院長は、その夜例の銀座のクラブに電話して、その女の子に変わってくれと言った。

ところが女の子はもうやめているという。

ママにどういう子かと聞くと、飛び込みで2週間前に入った子で、可愛い子だから雇った、と言っただけで何も分からない。履歴書は貰っているだろうけど、多分架空の住所だろう。

ジイサン院長は、家族に言われるのだけは困る!と思い、病院の預金残高を事務長に聞いた。残高は37億円だった。

夕方になり、あの中年男に払わざるを得ないかな、と思っているところ、今度はジイサン院長の携帯にかかってきた。

言葉は初回より丁寧で、是非よろしくお願いします、なんて言い方をしてきた。

携帯の番号は、女の子から聞いたのだろう。

ジイサン院長は翌日、1億円を現金で払うことにし、事務系の職員全員が帰る午後7時を指定した。

翌日男は取りに来た。

意外にもスーツにネクタイで、ヤクザ風には見えない、落ち着いたそこそこいい男だった。手には1億円のキャッシュが充分はいるキャスター付きの大きなバッグを持って。

ジイサン院長は領収書を書いてくれ、と言った。

男は一瞬躊躇したが、分かりました、書きますと応じた。

......これで落着だ、と思っていた。

ところがその4日後、何と男はもう1億円お願いしますと言ってきた。

さすがにこれにはジイサン院長も言葉を荒げた。

ーいい加減にしてください!!ー

そうすると、今度は娘が自殺しそうです、院長も家族がいればわかるでしょう?とこじつけのような言葉を使ってきた。

その中に家族という2文字を入れる悪辣さ。院長が家族に弱いところを突いてくる。

いくらジイサン院長でも、嘘八百を並べやがって! と頭の中で怒りが渦巻く。

しかし...また病院に電話されたり、家族に気付かれたら、とんでもないことになる。

結局ジイサン院長は、条件をつけて払うことを考えた。

条件は....

1.これ以上絶対請求をしないこと。

2.領収書は女の子を一緒につれてきて、連名で書くこと。

3.ふたりの免許証をコピーさせること。

でこの条件で払うことに合意。

当日女の子も来たが、元気なさそうだった。それとも男にあまり嬉しそうな顔で行くな、と言われたか。

しかし免許証を見ると、このふたりは、実際の親子だった。ただ金はほとんど親父が借金の返済にでも必要な感じだった。

(使途不明になりそうなこの2億円、ジイサン院長の退職金前借りの名目で処理)