楽しいお寺、儲けるお寺
(写真は参考画像)
本来お寺は、信心のある者が訪れるものである。
このお寺は、国内では最もメジャーな宗派だった。
完全独立の、所謂、単立寺だった。単立寺ということは本山でもある。
殆どのお寺は、単立寺ではなく、末寺で、単立行動ができない。何をやるにしても、本山の許可がいる。
その点、このお寺は、事業も自由自在だった。
大卒直後から事業をやっている私は、全てをbusinesslikeに考える癖がある。だからお寺にしろ、健全経営が第一。
メジャーな、誰でも知っている宗派の寺だったので、別の宗派の方にも(どの宗派の方にも)霊園使用権を許可(販売)した。
これは、特にこの法人の規則にも規定がなく、私のバックにいる大企業の社長も、異義なしだった。
宗派に固定されると、日本国内にある多数の他の宗派を疎外し、businessの上でも窮屈になる。
これは成功だった。他の宗派の方も、市街地に近い便利な位置にあるこの寺の霊園を沢山買ってくれた。
宗教法人のメリットは、こうした霊園売買(貸与)や布施で、どんなに収入があろうと、無税ということだ。
お寺の敷地は約7000坪あり、ほとんど平坦。楠や桧の巨木があった。
寺院の建物は、平成の初めに大改修をやっており、明るい感じで、所謂、昔からの古い暗いお寺のイメージはなく、敷地内の建物もかなり洋風だった。
学校から帰った子供たちの遊び場にもなっていた。
近所の住民には先代の頃から親しまれており、年末の
ー除夜の鐘ー
は地元住民数十人に、ひとりひとり突かせた。これは好評で、中高生も突きに来ていた。
108つの煩悩を祓う、というより新年に向けての気持ちの切り替えのためのセレモニーだ。
東京から来て、何もかもbusinesslikeに考えている自分でも、こういう地元の方たちの光景を目にすると、ほのぼのとした気持ちになった。