ある少女の物語(1)

少女は街の中の小さな公園のベンチで待っていた。

約束の時間PM 4:00

少女は高校2年だったが、162cmあって、大人だったら中肉中背という感じ。高2のクラス内では、少し身長は高め。

 

何故このベンチで待っていたのか?

実は、少女が行っているのは女子高で、無論男子生徒はいなかった。

 

この少女はちょっとオマセだった。

だから

高校の部活の先輩が、クラブの部室に来て

ー彼氏紹介してあげようか?ー

と言われた時、

ーえっ、紹介して!ー

とつい言ってしまった。

ーでも、大学生じゃないよ。社会人だよ。ー

ー社会人? まあいいや。先輩の知ってる人でしょう?ー

ーもちろん。いい人だよ。ー

ー先輩の前の彼氏とか?ー

ーんなわけないだろう!ー

ーだよね。ー

ーじゃあどうする?ー

ー先輩と前遊んだことある、あの公園のベンチで4時に待ってるようにするから、来てって言って。ー

ー明日かよ、随分強引だな。...まあ言ってみる。ー

 

翌日、学校が終わると、すぐトイレで着替え、駅のコインロッカーへ勉強道具を詰めこんだ。

そして、公園に直行。

 

何も先輩から携帯にかからないし、メールもないから、男の人は来るハズだ。

どんな人だろう?

ドキドキ。

...まあ、先輩の紹介だから、わるい人じゃないよね...

4:00...来ない!

先輩、ちゃんと言ってくれたのかな?

 

4時5分過ぎにその人は急ぎ足でやって来た。

身長170くらいの小柄な男性。顔はわるくないけど、スーツにネクタイ。だから、幾つか知らないけど、かなり自分より年上に見えた。

まあ、少し話してみよう...

ーK(少女)ちゃんだよね。高校生と聞いたから、S(紹介の先輩)ちゃんに無理だって言ったんだ。ー

ー別に高校生でもいいじゃないですか。ー

ーでも、すごい美人だね。それに大人っぽいし。ー

(赤いリップを引いてたし、背も高めなので、大人っぽく見えたのだ。)

 

私服だったので、そのあとレストランに行って、パフェをたのんだ。彼は紅茶だった。

私、勉強あまりやってない、と彼に言った。

勉強を教えるんだったらいいよ、と彼は答えた。

ー今、彼女いないんですか?ー

(相手が年上だし、スーツだから、つい敬語になった。)

ーまあね。ー

ーS先輩をどうして知ってるんですか?ー

ー営業をしているから、Sちゃんところにもよく行くんだ。SちゃんがTV 局にはいった時から知ってるよ。ー

 

この日はついでにハンバーグも御馳走になった。

 

今度来るとき、教科書持ってきて、教えるから、と言われた。そこそこの大学を出ているらしい。高校生だったら、大抵の学課は教えられると言っていた。

K(少女)は来週の同じ日時に、彼と会う約束をした。

(続く)